滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は、3歳から10歳頃に多くみられ小学校に入学するまでにお子様の90%がかかる病気とされており子供の難聴の原因で一番多いものです。
鼓膜に穴がなく中耳に液体がたまり難聴の原因になりますが痛みや発熱がない中耳炎です。
急性中耳炎の発症後の診察の際に見つかること5割程度です。
大人だと鼻をすする癖がある方や鼻の調子が悪いとかかりやすい病気です。

症状

中耳炎という名前ですが、滲出性中耳炎には痛みや発熱ありません。
山に登ったり電車がトンネルに入ったときのような、耳がつまった感じや少し聞こえにくいことが主な症状で、子供では呼んでも返事が無かったり、テレビの音が大きいなどで気づかれることが多いです。
耳が「ポコポコ」となることもあります。

原因

鼓膜の奥にある中耳と、鼻の奥・のどは、耳管という細い管でつながっており、耳管がつまりやすいことが原因で滲出性中耳炎を引き起こすことが多いです。
また鼻づまり、鼻水が多い、のどの炎症などで耳管の働きがわるくなり滲出性中耳炎になりやすくなります。
膿がたまる急性中耳炎の治りかけの時に滲出液が残ってしまう場合があります。
お子様の場合は急性中耳炎と滲出性中耳炎を相互に移行することが多く診断に悩むことがあります。

診察

鼓膜をみると、鼓膜がへこんでみえたり鼓膜の内側の滲出液(みずのような液体)、空気の泡がみえることで診断します。
検査では鼓膜に圧力をかけて鼓膜の動きを見るティンパノグラムという検査で鼓膜の動きが悪いことが確認できます。
聴力検査では少しの聴力低下がみられることがありますが正常の場合もあります。
年齢により聴力検査ができない場合は問診、鼓膜の状態や鼻・のどのカゼの具合、言葉の発達などから診断を進めていきます。

治療

鼻・のどの炎症を治療することで耳管の働きを改善することで治療を行います。
お薬を内服して中耳や鼻の線毛機能の改善をうながし排液を行う手助けを行います。
あわせて痰や膿の粘りをとり、排出しやすくする薬を内服していただきます。
耳の周辺の器官である咽頭や鼻腔に炎症がみられる場合はそちらの治療も並行して進めていくことになります。

お薬での治療で症状の改善が得られない場合は次の段階として鼓膜に小さな穴をあけて水を吸い出す「鼓膜切開」という治療も可能です。
鼓膜切開で開けた穴は数日で自然に閉鎖してしまいますので穴を残すために鼓膜にチューブを挿入しチューブの穴から自然に外に滲出液が流出して症状を改善します。
鼓膜切開もチューブの挿入も鼓膜の麻酔を行ってから行う手術です。 どうしても治療に必要な方に限りこのような処置を行うことになります。