アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症

アデノウイルスは1953年にアデノイド組織から分離されたDNAウィルスである。小児に多く感染し気道分泌物により感染します。
高熱、のどの痛み、せき、鼻水など多彩な症状が出現し、免疫がつきにくいため感染を繰り返すことも特徴です。
学校保険法では第二種伝染病に位置づけられており症状がなくなった後2日経過するまで出席停止となります。

症状

扁桃に白い膿が付着するのが特徴です。発熱は39度から40度の高熱が5日ぐらい続くことがあります。
EBウィルスによる急性扁桃炎とは別物でありアデノウィルスは好中球、EBウイルスはリンパ球が増加します。
結膜炎を併発していることもありその場合は咽頭結膜熱(俗称プール熱)と呼びます。目と扁桃の症状は片方が先に始まることもあり、片側の目やにが出始めて3日くらいしてから反対側に発症します。

中でもアデノウイルス8型は特に結膜炎の症状が強く流行しやすいため問題になりやすいです。典型的な病変では目の結膜だけではなくまぶたにも強い炎症を認めます。完治するまで2週間以上かかることもあります。

胃腸炎

アデノウイルスの腸炎はノロウィルス、ロタウィルスに比べて症状は軽いことが多いです。しかしながら合併症としての腸重積や虫垂炎に注意しなければなりません。アデノウイルスの腸重積は短期間に繰り返すことが知られています。

出血性膀胱炎
アデノウィルス11型により出血性膀胱炎が起こることがあり、その時は血尿や排尿痛がみられます。

検査

アデノウィルス迅速診断で感度の良いものが開発されており5分位で結果が出ます。
ただし感度が100%ではないため検査が陰性でも完全に否定はできないという点に注意が必要です。
実際の症状のほかに同じ環境内や家族内に同じような症状の方がいなかったかと言う事は重要です。

治療

アデノウイルス感染症の治療は基本的に対症療法といって症状をやつらさを抑える治療が中心となります。
ウィルスによる感染症のため有効な抗ウィルス点眼薬はありません。混合感染の予防に抗菌薬の点眼を行いますが症状が強い場合はステロイドの点眼薬も一緒に使います。
鼻水を伴う場合は中耳炎を併発することが多いです。抗生物質は不要と言う意見もありますが中耳炎の最初はウイルス性であっても最終的には細菌性になるため抗生物質による治療は必要だと考えています。
アデノウイルス感染症は通常は2週間程度で完治します。
また患者さん以外への家族や周囲への感染の予防が重要です。タオルを1人1人別にする。手洗いの徹底、手の触れやすい部分をきれいに拭き取る、集団生活は感染の可能性がなくなるまでお休みするなどです。

感染者はうんちにウィルスを排泄するため感染源となってしまいます。流水、石鹸での手洗いによる感染予防が重要です。ウイルスの除去には塩素消毒が有用です。

日本にはワクチンはありません。