副鼻腔炎(ちくのう)

副鼻腔炎(ちくのう)

慢性副鼻腔炎は「ちくのう」ともよばれ、副鼻腔と呼ばれる鼻の穴につながる空洞に膿がたまっている状態を指します。ひどい時にはポリープ(鼻茸)が発生して鼻づまりを引き起こします。
「ちくのう」というとお子様のかかる病気というイメージが強いようですが大人の方も頻繁にかかる病気です。
風邪や花粉症をきっかけに症状が出現することがありますので注意が必要です。

症状

頬(ほほ)の痛みと黄色い鼻水が出ることで気付くことが多いです。
鼻水がのどにまわることでのどの炎症を引き起こすことがあります。
長期間痰(たん)と咳(せき)が出る、においがよく分からないなどの症状も特徴です。
その他にひたいの不快感、鈍い頭痛、偏頭痛があり、ひどいときには眼に圧迫感を感じ目の動きが障害されたり失明する場合もあります。
また、好酸球性副鼻腔炎という特殊な副鼻腔炎が増えております。これはぜんそくなどの症状と一致して悪化するためかなり苦しい症状を引き起こします。鼻のポリープが改善すると症状が楽になります。

原因

鼻カゼ、虫歯などに続き発症する副鼻腔の炎症、急性副鼻腔炎が治り切らないで慢性化してしまったために起こるものです。
アレルギー性鼻炎や花粉症がある方の場合は症状が長引くことが多いです。

診断

炎症が続くことにより、鼻の粘膜が腫れてしまいます。悪化すると鼻茸(ポリープ)が鼻内にできることがあります。
レントゲン写真でこちらの画像にように膿(うみ)が映ることもあります。
鼻から黄色い膿汁が流れ出てくることでも診断が可能です。

治療

主な治療としては

  1. 内服薬
    内服薬は粘液溶解剤(鼻水を出しやすくする薬)とマクロライド系と呼ばれる抗生物質を長期間内服していただきます。(耳鼻咽喉科で広く行われている治療法で、長期間の内服でも安全です。)通常は3ヶ月程度を目安に内服していただきます。鼻の腫れがひどい場合にはステロイドという強力に炎症を抑える薬を処方いたします。
  2. 点鼻薬
    炎症を抑える点鼻薬を処方いたします。点鼻薬により鼻のつまりを改善し鼻水を出しやすくします。ステロイド剤を使用することが多いですが点鼻薬は全身作用がないため安全に使用することが出来ます。
  3. 処置、ネブライザー
    鼻のなかに直接薬液を散布し鼻水を吸い出すことが効果的です。処置の際には麻酔薬を噴霧して行いますが多少の疼痛が伴いますので痛みが強い場合は医師にお伝えください。またネブライザーで炎症を抑える薬剤を超音波で微粒子に変え鼻や副鼻腔の隅々までいきわたるようにして吸入を行います。
  4. 副鼻腔洗浄
    鼻の中を生理食塩水で直接洗浄することで副鼻腔内に貯留した膿汁を排出することができます。洗浄前に薬液を散布したり綿棒などで副鼻腔の入口を拡大するとより効果的に洗浄できます。
  5. ポリープ(鼻茸)の除去
    ポリープ(鼻茸)が発生している場合鼻の中を麻酔してポリープを切除することがあります。鼻にスプレーで麻酔したのち麻酔をしみこませたガーゼを挿入し20分程度麻酔を行います。麻酔が効いたら内視鏡で観察しながら鼻茸を切除します。切除したポリープは病理検査(顕微鏡で観察しどのようなタイプのポリープか調べる検査)を行います。
  6. があげられます。


    治療の終了は症状の改善、消失により判断しますが、レントゲンで最初にみられた影(炎症)がなくなり、鼻茸(ポリープ)が消失すれば、完全に治った状態です。鼻の処置や内服治療でなかなか治らない場合は内視鏡手術をお勧めすることがあります。